四電工60年のあゆみ
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75「設計コンクール」表彰者上)松山赤十字病院 下)院内の給排水設備 2015(平成27)年8月、官公庁が発注する総合評価落札方式物件において重点項目とされる「技術提案」と「工事成績」の評価向上を目的に、「技術提案・工事成績向上研究会」が初開催された。 官公庁工事は件数としては減少傾向にあるものの、技術提案と工事成績は受注を左右する重要な課題である。研究会では、参加者がそれぞれ事例に基づいて提案方法、工事管理手法のポイントなどを発表し、質疑応答を行っている。 なお、本研究会や先述の技術発表会で使われた資料はイントラネットで保管され、従業員は自由にアクセスして活用できる。 近年、概算見積書により設備工事業者を内定する案件が増えている。これは、設備工事業者を早期に確保するとともに、工事を見据えた設計を行うことで予算内の実施設計を作成するためと考えられる。 こうした状況に対応するためには、概算積算の手法や基準を明確化し、概算積算値の統一化を図る必要がある。また、過去に積算を行った類似物件と比較検討したり、積算物件の特殊性を考慮したりすることも重要となる。 そのため2021(令和3)年5月、当部は「概算マニュアル」を導入し、概算積算の仕様作成や金額の算出方法を示した。 当部では、2015(平成27)年8月、「松山赤十字病院新築工事」の電気工事と給排水工事に着手した。本工事は超大型物件であり、2018(平成30)年1月に北棟(Ⅰ期)、2021(令和3)年3月に南棟(Ⅱ期)がオープン、2022(令和4)年12月に外構工事(Ⅲ期)が完了した。 新病院は免震構造で、北棟は地下1階地上6階建て、南棟は地下1階地上10階建て、病床数は約600床。電気設備は、高圧6.6kV常用線/予備電源線の2回線受電で、トランス容量は計1万5,300kVA。医療用無停電電源装置(200kVA)を設置した電気室を備える。給排水設備は、市水2系統引き込みの受水槽(容量計200㎥)、雑用水槽(同235㎥)や6種類の排水処理施設が、給湯設備は太陽熱温水設備などが構築された。 同院は大規模な総合病院であり、工期中もその機能を継続していた。そのため、現場代理人らは事前に十分な調査を実施し、特にシステムの切り替え作業は細心の注意を払って行われた。技術提案・工事成績向上研究会の開始概算マニュアルの導入松山赤十字病院の施工

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