TCFD

Task Force on Climate-related Financial Disclosures

TCFD提言に基づく開示

四電工は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同しています。
同提言に基づき、気候変動が事業に与えるリスク・機会に関して、情報を開示します。

ガバナンス

当社は、環境・社会との調和のもと、持続的な企業成長を目的としたESG経営を推進するために、代表取締役社長を委員長とする「ESG推進会議」を設置しました。本会議では、「四電工グループ サステナビリティ方針」に則り、持続的な社会を実現するためのESGアクションプランを推進しています。
気候変動対応についても、重要な議題の一つとして議論しています。審議結果は年1回の頻度で取締役会に付議し、経営計画に反映しています(図1)。
2022年11月には、TCFD提言への賛同およびTCFDコンソーシアムへの加入について、同会議で決議いたしました。さらに、温室効果ガス排出量の削減目標について決議し、本開示によって公開することを決定いたしました。

ESG経営推進体制

図1:ESG経営推進体制

戦略

気候変動が当社にもたらすリスクと機会を把握するために、シナリオ分析を実施しました。

シナリオ分析方法

2030年における気候変動による事業への影響を明らかにするために、以下の2つのシナリオを用いてシナリオ分析を実施しました。今回は、積極的な政策により気温上昇を抑える1.5℃シナリオと、限定的な政策により気候変動が進む4℃シナリオを採用しました。各シナリオで分析のために参考にしたシナリオは、IEA(国際エネルギー機関)から報告されているシナリオとIPCC(気候変動に関する政府間パネル)から報告されているRCPシナリオです。IEAのシナリオは脱炭素経済への移行に伴う影響の分析のために使用し、RCPシナリオは、気候変動による物理的な影響の分析のために使用しました(表1)。

表1:分析にあたり設定したシナリオ

  政策により気温上昇が抑えられる世界 気温上昇・気候変動が進む世界
1.5℃シナリオ 4℃シナリオ
概要 2100年の気温上昇が19世紀後半から1.5℃に抑えられるシナリオ。 炭素税など移行リスクの影響を受ける。物理リスクの影響は4℃シナリオに比べ相対的に小さい。 2100年の気温上昇が19世紀後半から4℃上昇するシナリオ。 災害など物理リスクの影響を受ける。気候変動に関する規制強化は行われず、移行リスクの影響は小さい。
参考シナリオ 移行 IEA Net Zero Emission by 2050(NZE)
IEA Sustainable Development Scenario(SDS)
IEA Stated Polices Scenario(STEPS)
物理 IPCC RCP 2.6 IPCC RCP 8.5
IPCC第5次評価報告書 第1作業部会報告書 政策決定者向け要約p19図をもとに作成 図(参考):将来に向けての気温予測

IPCC第5次評価報告書 第1作業部会報告書 政策決定者向け要約p19図をもとに作成
図(参考):将来に向けての気温予測

シナリオ分析結果

<1.5℃シナリオ>

1.5℃シナリオでは、炭素税や自然エネルギー活用に関する政策・法規制の強化によって、脱炭素社会への移行に伴った社会変容が起きると想定されます。
当社事業へのリスクとしては、炭素税や排出量取引制度の導入、電力の再生可能エネルギーへの切り替えが挙げられます。さらに、脱炭素技術の開発の一環として、建設業でのDX化が進み、当社において導入が遅れた場合、他社に対する優位性が低下することが考えられます。これらリスクに対して当社では、自社設備の省エネ化に向けて空調の高効率化・LEDの導入・エコカーへの切り替え、ならびにDXや新技術導入による省力化の検討などを進めております。
一方、機会としては再生可能エネルギーに関連する工事やZEB※をはじめとする建物の省エネ化に関連する工事の需要が増加することが予想されます。そのため、現時点で当社としては太陽光発電システムの設置、風力・太陽光発電の送電線工事の営業活動を強化しています。さらに、ESG対応ニーズの高い法人向けに脱炭素化サービス(太陽光システム・蓄電池・EVなど)を提供する新規サービスを検討しています。

※ZEB(Net Zero Energy Building):建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物

<4℃シナリオ>

4℃シナリオでは、気候変動が進むことで異常気象の激甚化などの物理的な影響が拡大することが予想されます。
当社へのリスクとしては、拠点の被災による損害や事業停止だけでなく、社会インフラや顧客設備の被災による緊急対応の増加などが挙げられます。当社としては、自社の事業活動への影響を最小限に抑えるために、自社の事業継続計画(BCP)の策定だけでなく、調達先へも協力を要請しています。
一方、機会としては、防災意識の高まりにより、防災に対応した設備への更新工事や、非常用電源設備などの防災対策設備の新規導入工事における需要増が見込まれます。また、 より安全な地域への建物の移転・新築ニーズの高まりに伴う設備工事の増加も予想されます。当社では、顧客施設の防災・減災に資する、災害に強い設備の導入を促すソリューション営業をさらに強化・維持していくことを検討しています。
なお、気候変動が当社の事業活動に与える影響については、以下(表2)に取りまとめています。


表2:シナリオ分析結果 (※クリックで拡大いたします。)

表2:シナリオ分析結果

リスク管理

当社は、事業活動に伴うリスクを未然に把握し、適切に対処するために「リスク管理要領」によりリスク管理方法を定めており、気候変動に関するリスクも同様に取り扱っています。
当該リスクは事業部ごとに年1回以上見直すこととしており、特定されたリスクは、影響度と発生可能性から分類・評価することとしています。このうち特に重要なリスクについては、統括執行役員会にて審議の後、取締役会に付議し、翌年の経営計画に反映することとしています。

指標と目標

当社は、自社のESG経営の進捗および気候変動に対する政策等の影響を評価・管理するために、温室効果ガス排出量を指標として設定しており、2030年度に2013年度比で46%以上削減※することを目標として掲げています(表3および図2)。今後は、目標達成にむけて、ZEB化をはじめとした自社設備の省エネ化や再生可能エネルギーの導入を進めていきます。

※対象:四電工単体のScope1,2

図(参考):サプライチェーン排出量のスコープ図

図(参考):サプライチェーン排出量のスコープ図

表3:温室効果ガス排出量[t-CO2]

2013年度 2021年度
自社の活動によるGHG排出(Scope1+Scope2)  9,040 7,073
(内訳) Scope1(燃料の使用による排出) 5,216 3,395
Scope2(電力の購入による排出) 3,824 3,572
建設現場におけるGHG排出※ - 106

※当社の元請け工事のScope1,2が対象、対象範囲:四電工単体

図2:温室効果ガス排出実績および削減目標[t-CO2]

図2:温室効果ガス排出実績および削減目標[t-CO2]

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